授業現場を散歩する。

対話する授業を求めて・・

小学校の先生に向け授業づくりのヒントを紹介します。


「最後のコンサート」道徳5年 生と死 実話の力を生かす。


スタディサプリENGLISH(新日常英会話コース)


授業TCは参考例です。実態やアイデアを加えオリジナルの授業を! 


精一杯生きる 1つしかない命 命の大切さ・・・など「生きる」というワードを使った言葉はよく耳にするが、それはどういうことなのか・・子どもたちは普段は深く考えないだろう。
 
また死に向かう人間の生きざまに実際に出会わせるのは難しい。
 
よって「生きる」を扱う授業は追求が難しい。これに挑戦する授業のTCを考察しよう。
 

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教材はチェロ奏者である徳永兼一郎氏の実話である。
がんで亡くなる直前まで演奏を続ける彼の姿はまさに「精一杯生きる」とはどういうことかを子どもたちに投げかけている。
 
自分の体が思うように動かなくなってもホスピスのコンサートを目標にお世話になっているみんなに喜んでもらいたいという思いで練習を再開する彼の生き方を通して考えさせる。
 
 

展開前段

  T:「精一杯生きる」ってよく聞く言葉だよね。今日はこのことを考えたいと思います。
 
教材文を範読する。
写真や絵を見せながら、主人公徳永兼一郎氏、チェロ、ホスピス コンサートの確認をする。
4つとも子ども達にはほとんど縁が無いものなので霧に包まれたような雰囲気でスタートする。
 
T: 3月2日のコンサートに、兼一郎はどんな気持ちで会場に向かっていましたか?
 
C: 観客を喜ばせたい。
C: 聴いている人を幸せな気持ちにさせたい。
C: 自分がもう少しで死ぬ
C: 最後になる
C: 佐藤さんという人にチェロを作るのを頼んでいたからそれに命を吹き込みたいと思っていた。
 
T: 次に何があった?
 
C: 素晴らしいコンサートだったからもう一度ホスピスでコンサ-トをしようと言った。
C: 友人とか弟にもう一度しようと言われた。
C: 自分が聞きたいのもあるけど兼一郎にもう一度元気を出してほしかった。
 
T: 兼一郎は引き受けましたか?
 
C: 練習を始めた。
 
T: こういう兼一郎さんに対してみんなはどう思うのかグループでで話し合ってみよう。今まで確認したワードを見て話し合いましょう。
 
  板書
  徳永兼一郎 
  チェロ 
  ホスピス    
  生きる 
  死ぬ 
  コンサート
  観客              
   
 

グループ交流  10分

 
T: グループで話し合ったことを発表しよう。
 
C: とてもつらそう。健康ならいいのにかわいそう。
C: ホスピスは死に向かう人がいるところだから、そこからコンサート会場に向かうってすごいこと。
C: コンサート後はチェロを触らないって書いてるから、それぐらい体がつらかったんだな。
C: 手や腕はわずかに動くのみで下半身が動かないということは、全部の力が入らないから普通なら弾くのは無理・・・気力がすごい。
C: なぜそこまでするのかわからない。辛いと思う。
C: チェロを弾くっていうことはこの人にとっては生きるってことだ。
C: 体が悪くてチェロを弾くのやめたのにまわりにいわれてまたやろうと決心するのはほんとに人を喜ばせることが好きなんだと思う。
C: 家族だったら心配という人と、家族だから応援したんじゃないかという意見が出ました。
 
T:  なるほど。この物語は実話です。本当にあった話です。題名は「最後のコンサート」だよね。その様子が書いてあるところを読むからじっくり聴いて想像してみようか。 死というものに程遠い君たちだけど、死にゆく人の生きる気持ちや力を感じてほしいです。
 
  板書

死にゆく人の生きる気持ち

 

資料の後半  コンサート当日から最後までを読む。
 

展開後段

 
T:  兼一郎は精一杯生きたことがわかるよね。この話はさっき言った通り実話です。君たちの周りでも精一杯生きて亡くなった人はいますか?
C:  ・・・・・・
 
T: なかなか話しづらいかな・・じゃあ・・落語家の桂 歌丸師匠って知ってる?
C: 知ってる!
C:この間なくなった・・・
C: 笑点の人。
C: 最後車椅子で鼻に管をつけて落語をしていた人。
 
桂歌丸の功績や最後の様子を話す。
 
T:じゃあ・・「かこさとし」って知ってる?
 
C:絵本作家?
C:だるまちゃんを描いちゃ人・・とらねこちゃんとかてんぐちゃん
C:カラスのパンやさんの人
 
T:そうそう。この人なくなったんだけれど、かこさとしさんの最後の様子をこの間テレビのドキュメンタリーでやってました。見た人いる?
 
C: みた!
C: ベッドで休みながら絵を描いていた。
 
・「かこさとし」のドキュメンタリーの話をする。
 
T: 最後にある二人の話をします。一人目は先生のおじいちゃんの話です。
 
祖父が痛い足を引きずりながら、年老いても農業をしていたことを話す。独立して離れている孫たちにも毎年美味しいお米を送ってくれていた。
 
T: 次は有名なお医者さんの話。
 
・「日野原重明医師」の話をする。
 
   板書
「誰にでも平等にある命」 
 模造紙に書いた文を示す。
「命は生きている時間のことだ。時間を無駄にしないことが命を大切にすることだ。見えない空気の様な命は皆に平等にある。」 
T: これを読んで命のことや精一杯生きることについて考えたことをノートに書きましょう。
 

【授業の成果】

 
5年生になると理科の授業で「メダカの誕生」「ヒトの誕生」を学習する。生命のメカニズムがわかり命の誕生について興味をもつ。神秘性や生命の連続性を知り感動する姿もみられる。
 
一体 命とは何か?なぜこの世で一番大事なのか。を考えさせたいならば大切な命を失った時のことや限りある命の極限に立ち向かう人間の姿に正面から向き合わせることが一番いいのだとこの先生は考えた。
 
展開後段での4人のエピソードは実話であることで子どもたちの心にダイレクトに届いた様だ。子どもたちのノートに書かれた言葉を紹介しよう。
 
時間があまりなかったが、残り6分でふりかえりの交流をした。
先生が「書けているところまで発表してください。」と話すと次の様な発言が出た。
 
・どんな命でも大切にしなければならないと感じた。
・精一杯生きるというのはギリギリの状態でも自分がしたいことと向き合うことだと思った。
・私は人を喜ばせる様な生き方がしたいです。
・命は絶対に大事にする。自分も周りの人も。
・僕自身精一杯生きようと思う。
・人のために生きることが精一杯生きることとつながる。
・最後までやることを精一杯したい。
・家族を喜ばせることを1回でも多くしたい。
・年取って死ぬまでまだ時間があったら精一杯生きたい。
・親に命をくれてありがとうって思った。
・1分でも長く楽しく生きたい。
・命は見えるんだなと思いました。
この時クラスに流れていた雰囲気がこの授業の成果を示していた。
実話には思わぬ力がある。それは私たち人間が一生懸命生きているからだ。
 
先生は授業で子ども達に何かを伝えている。
心を揺り動かし子どもたちに語らせる授業をしよう。

授業は難しい。

先生がんばれ!

明日も元気で。

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