単元目標
- 事柄の順序や文章の構成上の順序を考えながら読むことができる。
- 文章の内容と自分の経験や知識を結びつけて読むことができる。
- 主語と述語の関係や、漢字の読み方に注意して文章を読むことができる。
本時の目標
文章の順序や問いと答えなどの構成を考えながら読むことができる。
説明文を読む学習において、文章の構成を考えることは1年生にとっては難しいと言われる。しかし指導計画や発問の工夫によってそれに近づくことができる。このことに挑戦した授業を考察しよう。
復 習
T: 「うみのかくれんぼ」を今まで勉強して来たけど、どんなことがわかった?
C: 敵に食べられないように、はまぐりと、たこと、もくずしょいがかくれんぼをしています。
C: はまぐりはもぐって、たこは色を変えてかくれて、もくずしょいはかいそうに変身します。
C: もくずしょいはちょっと賢い。
たこも賢いよ・・の声
T: 今までみんなが勉強したことをもう一度ふりかえって見たいと思います。
3つの生き物のことをまとめた表を黒板にはる。表の縦軸は次の通り。
- 写真
- いきもののなまえ
- かくれかた
この表は子ども達も一人一人写真入りのワークシートとして持っていて書き込んでいる。今までこの表に書き入れながら単元を進めてきた。表紙は可愛らしい絵が書いてある。
この表は結局は文章構成を示している。問いの答えがこの3つであることを子どもたちにわからせるために先生が単元の最初に用意した。いよいよ今日その出番が来る。右の黄色い部分に?マークをつけたのはどういう効果があるだろう。
音読と動作化
T: 今日はみんなで全文を音読するよ。
はまぐりのところをを読みましょう。
(一斉読み)
T: では1号車と2号車に読んでもらいますから、みんなは音読をよく聴いて、はまぐりになってはまぐりのかくれかたで動いてみましょう。ちゃんと聴いてしっかり動こう。
席の縦2列が起立して音読する。他が動作化する。楽しそうだ。
T: 次にたこのところをみんなで読みましょう。
(一斉読み)
はまぐりのところをを読みましょう。
(一斉読み)
T: では3号車と4号車に読んでもらいますから、みんなは音読をよく聴いて、たこになってたこのかくれかたで動いてみましょう。ちゃんと聴いてしっかり動こう。
席の縦2列が起立して音読する。他が動作化する。色が変わるというのは動作しにくそうにしている。
同じように5・6号車2列が音読し他が動作化した。もずくしょいの動きはちょっと高度なので面白そうに動作化した。教室は賑やかになった。
課題をつかむ
T: 最後にちょっとみんなに考えて欲しいことがあります。
先生はさっきの表の右を閉める黄色い部分を指差す。
T: この表は「うみのかくれんぼ」のお話の設計図です。今から3つの生き物のことを書いてある前の部分、ここにはなんて書いたらいいかを考えてみましょう。下に?のマークが書いてありますね。これがヒントです。全文をよく読んだらわかるのでしっかり音読しましょう。
(一斉読み)
T: ?のついているここには何と書けばいいと思いますか?
子ども達は初めの部分だとわかっているようだが・・・
C: うみにはいきものがかくれています。
C: なにがどのようにかくれているでしょうか。
C: うみのかくれんぼ
?をつけて板書する(縦書き)
- うみにはいきものがかくれています?
- 何がどのように隠れているでしょうか?
- うみのかくれんぼ?
T: 3つ意見が出ました。この場所にはどの文がいいと思いますか?
子ども達は、口々にこの3つを読んでいる。3つの文には、? がついているので読むと語尾のトーンが上がり気味な読み方だ。
C: 2がいいと思います。?に合っています。
C: 1番「うみにはいきものがかくれています?」って、かくれているかかくれてないかわからないから・・かくれているから・・
T: もう生き物が隠れていることはわかっているもんね。
C: ・・・・
T: みんなが考えているのはどの部分?
C: 初めの写真のとこの部分です。
C: 3番は題名だからやめたほうがいいと思います。
C: 3番は一番おかしいと思う。?をつけると変だから
ペア交流
T: わかった。1番と3番はちょっと違うのかな。では2番を読んでみよう。なぜこれがいいと思うのかちゃんと考えてみよう。
(一斉読み)「なにがどのようにかくれているでしょうか?」3回読む。
T: さあ、なぜこの文がふさわしいのかな?
C: ・・・・・・
T: では今からこの文がなぜいいかペアで話し合ってみましょう。
ペア交流 5分
まだペア交流になれていないペアが5ペアぐらいある。先生は机間指導をしながらこれらのペアに支援している。
この部分に?をつけたことによって、消去法で2番になっている子ども達の様子を見て先生はペア交流を設定した。
全体交流
T: 「なにがどのようにかくれているでしょうか?」がふさわしいのはなぜか考えましたか?
C: 一番詳しく書いているから
C: もくずしょいとたことはまぐりが、どんなふうにかくれるかが大事だから
C: もくずしょいたちが・・どのようにかくれてるか・・・次に説明するから
C: はまぐりとたこ・・もくずしょい・・のかくれかたとあっているから
T: だよね。このクエスチョンマーク(?)の答えはどこにあるの?
C: 3つのいきものを・・ちゃんと説明したところです。
C: 設計図だから、2番の・・・「なにがどのようにかくれているでしょうか?」って質問していて、答えを表に作ったからぴったり合う
C: 親子みたいになってる・・??
まとめ
T: そうですね。ではみんなもこの文章を表の横に書き込みましょう。
文章の中で、「なになにですか?」と読んでいる人にたづねていることを「問い」と言います。うみの中に「なにがどのようにかくれているでしょうか。」ってたづねているんだね。なにがどのようにかくれているかみなさん知っていますか?っていう意味です。
先生は黒板に「問い」と明示し子ども達もワークシートに書き入れた。
【授業の成果】
単元に入ってすぐ3つの生き物がどのようにかくれているかを1時間ずつ読み取り、計3時間過ぎたところでの本時。先生は興味づけのためにそれぞれの隠れる様子を動画で見せたりすると同時に、子ども達に写真入りのワークシートを用意し書き込ませて今までながら単元を進めてきた。表紙は可愛らしい絵が書いてあり、大事そうに持っている。それぞれの内容は順序だてて書かれていてわかりやすかった。
本時の「問い」になっている部分をどのように気づかせていくかは、子ども達の興味の外にあるから至難の技である。しかし作者が自分の論を進めるときに「問い」を投げかけ「答え」に誘導する技は今後出会う説明文には多く出てくる。その時、1年生の時にやったなとは覚えてないかもしれない。また定着はできないかもしれない。
それでも順序よく説明することや、「次に」「その次に」と進めていくことや、「問い」と「答え」になっているを考えさせていくことは「はじめ」「中」「終わり」を学習する前段階である。本時は「問い」について工夫して考えさせたことが意義深い。
前半は楽しい音読と動作化のコラボレーションで賑やかだったが、3つの生き物の記述が順序よく書かれていたから動作化しやすい。そこから生まれるリズムのような心地よさを感じ取っていたので効果的だった。
授業は難しい。
先生がんばれ!
明日も元気で。