単元目標
・三角形の構成・弁別を通して二等辺三角形、正三角形を理解する
・そしてコンパスで書くさらに角について知る
・これらの三角形の角の大きさについて理解する。
単元の初めの三角形の弁別の授業を考えよう。ポイントは、どうやって辺に着目させるか・・である。
授業前の準備
前の時間に同じ長さで同じ色のストロー4種類を使って全員で三角形を作った。その数を確認し、先生が各グループ平等になるように調整した。8つのグループに各10個ずつの三角形を配布できるようにした。10個の三角形には、正三角形、二等辺三角形、それ以外の三角形が2つ以上入っている。これで子どもたちが作った三角形で仲間分けの授業ができる。
授業の導入
T: 今まで勉強した形の中でこのようなストローでできる形って何がありますか?
C: 三角形
T: 三角形ね。誰かこのストローで作ってみよう。
1人がストローを3本取って黒板のホワイトボード上に三角形に作った。
ストローには小さなマグネットシートが貼られている。
T: はい。違う長さのストローを使って三角形を作ってくれました。他の形はある?
C: 正方形です。
T: では誰か作ってみよう。
1人が出て同じ色のストローを4本取り正方形を作った。
T: 他の形はありますか?
C: 長方形
T: 長方形ね。では誰か前で作ってみよう。
2人が出て一本ずつ取り出し向かいあう辺を同じストローにして長方形を作った。
C: 他の長方形もできます。
T: ではどうぞ
1人が出て来てストローを5本とりこんな形を作った。
ダイヤの形だ!の声
先生はできるだけストロー=辺を意識づけようとこの導入を決めたのに、やはり形に結び付く子どもは多そうだ。
T: 5つ作ってくれましたね。さて、作った形のこのストローの直線部分には名前がついていました。なんだか覚えていますか?
C: 辺です。
T: そう。ストロー1本は形のパーツの一部。辺だよね。
展開
T: 今から昨日みんな作ってくれた三角形全部で80個ありました。先生が作った三角形も入っています。これをを分けて10個ずつグループに配ります。
ここで問題です。実は10個の三角形を先生はあるルールに従って3つに仲間分けしました。その仲間分けをすると三角形の秘密が「なるほどー」とよくわかりました。さて先生はどんな仲間分けをしたでしょうか?
これが今日のめあてです。
今日のめあて
三角形の秘密がわかる「仲間分け」とはどんな「仲間分け」でしょう?
T: まず、みんなでじっくり三角形見ましょう。次に先生がやった3つの仲間分けはどんな仲間分けなのか話し合います。では始めましょう。
しばらく10個をみていたが、子ども達はストロー三角形を触ったりひっくり返したりしながら話し合っている。首を傾げる子が多い。
T: どんな意見が出ました?
C: 三角形の大きいのと小さいのに分けようと思ったけど大きいのと小さいので意見が分かれました。中位がありませんでした。
T: 人によって大きいとか小さいとかが違っていたんだね。
C: ストローの色に赤が1本入っているか赤が2本入っているか赤が1本も入っていないかで分ける。
T: この分け方はどうですか?
僕の班は赤が2本入っている三角形ないよ。・・・の声
C: 僕の班は赤1本の三角形がありません。
T: と言うことはこの分け方ではなさそうだね。
C: 形で分けました。つぶれ三角形ととんがり三角形ときれい三角形
C: きれいな形ときれいでない形
T: ちょっと聞くけどこの三角形はこの向きだと潰れているけど、この向きだとどう?
C: とんがり三角形に変身した!
T: でしょ?だからこの分け方も残念!違うね。でも・・・・・・
きれいな形ときれいでない形はちょっと近づいてるよ。
C:・・・・・・・・・・
では今からグループできれいな形かきれいでない形に分けてみてください。
C: 先生2つに分けるんですか?3つじゃなくて・・・
T: はい。2つに分けてからまた考えるからね。
グループ交流
作業しやすいように4つ切り画用紙が1枚ずつグループに配布された。
きれいとはどういうことか、きれいではないとはどういうことか、なんとも三角形にとっては失礼な仕分けが行われた。
結果は正三角形のみをきれいな三角形にしているグループと
正三角形、二等辺三角形をきれいな形にしているグループがあった。
集団解決
先生はここで全部のはんの仲間分けをお互いに席を立って見合いっこさせた。
するとわかった!という声が聞こえ、私も3つがわかったと数人が言い出した。
C: きれいな三角形はストローの色が同じで辺の長さが同じです。
C: 3色同じ色は一番きれいな三角形です。2色同じはクリスマスツリー型でまあきれいです。そのほかはストローの色はバラバラで形もきれいじゃない・・
T: まいった!先生の分け方は辺の長さだったんです。ではみなさん1人2個の三角形を持って黒板に仲間分けしにきましょう。
全員セロテープでストロー三角形を黒板に貼りにきた。
先生は全員が貼り終わったらノートにまとめるように促した。
T: 新しい算数の用語です。みんなで読みましょう。
板書
今日のまとめ
同じ長さの辺が3本でできている⇨ 正三角形
同じ長さの辺2本と他1本の辺でできている⇨ 二等辺三角形
この2つはそれぞれ特別な三角形である。
【 授業の成果】
三角形の仲間分けで最も大きい壁は、生活場面で仲間分けする必要性を子ども達が感じにくいという点がある。唐突に「仲間分けせよ」と言われても、なんでその必要があるのかという違和感がある。お話を考えようとしてもなかなかいいお話が見つからない。そのような例を多く見てきた。この授業では導入で先生がクイズのように
ここで問題です。実は10個の三角形を先生はあるルールに従って3つに仲間分けしました。その仲間分けをすると三角形の秘密が「なるほどー」とよくわかりました。さて先生はどんな仲間分けをしたでしょうか?
と示したのは苦肉の策だろう。子ども達は初めはキョトンとしていたがその後の展開で軌道に乗せることができた。この授業の良さは次の4点。よく考えられた授業だったので最後は大いに盛り上がった。
- 前時に作ったストロー三角形を調整して本時で使えるように作り直した点。
- 形に興味がいきがちな子どもの反応を予測して、ストロー=辺を意識づけよう導入で意識づけをした点。
- 仲間分けの方法では案の定形に目がいった。しかし1回目のグループ交流で出てきた答えを淘汰し焦点化していった点
- 初めは2つの仲間分けをさせ次にそれを分解して3つの仲間分けに誘導していった点。
- 最後に黒板で80個の三角形を仲間分けし理解を定着させた点。
それでも構成要素ではなく形になびくのがこの時期の子どもだ。「ダイヤだ!」が出たときはひやっとしたがなんとか切り抜けた。まとめにもう少し時間をかけたかったが時間内に収められていた。準備し考え考えた授業構成。子どもたちは楽しそうだった。
授業は難しい。
先生がんばれ!
明日も元気で。