1年生では実際に物に触れて実感して理解することを大切にしている。
この単元では、直接比較や間接比較によって長さ、かさ、広さを比べることや、身の回りににあるものの長さ、かさ、広さ、を単位として、その幾つ分かで大きさを比べることが目標である。導入1時間は次のねらいである。
身の回りにあるものの長さに関心をもち,直接比較の方法を考えることができる。
1年生では実際に物に触れて実感して理解することを大切にしている。長さのくらべかたの一番初めに授業を考察しよう。
授業の流れ
導入
T: 筆箱の中の鉛筆で一番長い鉛筆を出してみてください。
子ども達はえー!と言いながら思い思いの方法で自分の選んだ鉛筆を出す。
T: お隣とどっちが長いかくらべてみてごらん
鉛筆を空中で重ねたり机の上に置いて並べたりして勝った負けたと言い合っている。
C: 僕の鉛筆の方が長かった
C: 私のは少しだけ短かった
CX: 僕たちのはどっちかよくわかりません
T: なんでわからないと思うのかな?
CX: 手がそろってないから・・・持ちかたが違うとくらべられません
CY: 机にたてらいいと思います
T: いい考えだね。ではCXさんのペアの鉛筆は後でちゃんと答えを出そうね。
先生は問題になったCXペアの2本を黒板に貼ってある透明の袋に大事そうにしまった。すでにもうここで課題を見つけることができた状態になった。
直面する課題ができたことは次の展開の動機付けが十分だ。
問題場面を提示
T: (鉛筆の写真を提示し)ではこの2本の鉛筆どちらが長いですか?
映像1
C: 赤鉛筆の方が長いです
C: 青鉛筆の方が長いと思います
C: 長さは同じくらい
C: はっきりわかりません
T: なんではっきりわからないんだろうね
C: 縦と横になっているから
T: なるほどね。今日はね。どのようにしたら長さをくらべられるかを考えましょう
板書
今日のめあて
長さのくらべかたを考えよう
ペア交流 その1
T: この赤鉛筆と青鉛筆が縦と横になってるからくらべられないって言う意見がありました。では今からペアで赤青2本の長さのくらべかたを見つけてみましょう。自分の鉛筆を出して動かしながら考えたらいいよ。
このペア交流では誰もが言葉をあまり出さず、一生懸命操作している。
次のような操作をしていた。
・鉛筆を重ねて持つ。
・鉛筆を同じ向きに並べる。
・机の上に2本を並べて立てる。
・鉛筆の片方の端をそろえる。
・「出ている方が長いね。」と話している。
・反対側の端で,長さを比べる。
集団解決
T: くらべかたのいい方が見つかりましたか?
C: 鉛筆のお尻をちゃんと揃える
C: ぴったりならべる
T: ここね?この端っこを揃えるんだね。どこに揃える?
机の端っこ ノートの線・・などと呟きながら直線になる部分を口々に示している。
C: ちょっと難しい方法で・・2本とも机にたててくらべたらいい
T: 立てると言うことはどこを揃えてるの?
C: 鉛筆のお尻のとこ
T: 下をぴったり合わせることになるよね。ではやってみるよ。
映像2
赤の方が長い!ちょっとの差だねー!
ほとんどいっしょだー・・・の声
演習 ペア交流 その2
T: よく見つけましたね。端を揃えることが大事なんだね。では今からみんなに黄色とピンクのリボンを配ります。両方ともグニャグニャ曲っています。長さが違うのでペアでどっちが長いか確かめてみよう。
一人一人に,長さの異なるリボンを配付し,曲がっているものの長さの比べ方をペアで交流する。子ども達は次の操作をペアで話し合いながら短時間で答えを見出す。
・ペアで協力し揃えられる直線を見つけている。
・リボンをまっすぐに伸ばして長さを比べようとしている。
・お道具箱からセロテープを出し机の端にくっつけて比べている。
T: 答えはどうでしたか?
一斉に、黄色の方が長い!!と叫ぶ。
まとめ
T: 黄色の方が長かったね!
では今日の初めにわからなかったCXさん達の鉛筆、先生の机で比べてみるよ。
授業の初めに答えがわからなかったCXペアの2本を、黒板に貼ってある透明の袋から取り出して教卓にそっと立てた。
T: 鉛筆の下のはしを平らな机にまっすぐに立てます。
じっと見守った子ども達が、右の方が長い!と口々に話していて、そのうちに拍手に変わった。答えを見つけられたと言う満足の雰囲気が流れている。
T: では今日のまとめをしましょう。長さを比べるためには?
C: 端を揃える!
C: 真っ直ぐの線にする
C: ぴったり並べる
板書
ながさをくらべるためには
はしをぴったりそろえるて、まっすぐのばしてくらべるとよい。
T: 自分でノートにまとめましょう。
【授業の成果】
自分の筆箱から鉛筆取り出したことからスタートし、まずクラスの課題を見つけた。課題はCXペアのわからなかった比べかたの答えだ。これを黒板の隅に巧みに温存したところがよかった。
そしてまとめで、温存した課題を引っ張り出し、自分たちが見つけた「端をぴったり揃えてまっすぐ伸ばしてくらべる」ことをを実行すると答えが見つけられることをみんなでおさらいできた。最後の教卓での2本のくらべかたは先生手動だがまるでショーのように盛り上がっていた。
また、先生が提示した問題の赤鉛筆、青鉛筆も見ただけでどちらが長いかはわかりにくいのでよかった。子ども達はたくさん操作をしていたが授業が進むにつれて答えを見つけるためにその動きは偶発的なものが減り、意図を持った操作作活動ができていた。
ペア活動1はほとんど自力解決に近く交流はほとんどなかったがペア交流2では明らかにはっきりとしたねらいを持って交流ができていた。一人遊びが多い1年生のうちは、このような2度のペア交流の設置も面白いと感じる。
授業は難しい。
先生がんばれ!
明日も元気で。